人魚姫
©1996 青野りえ

ゆらゆら夏のそこから 眩しく頬にこぼれる
潮風微かに甘く うつむく髪にささやき

甘く嘘が花咲き 醒めた夏はまだ
愛に溺れ戻れずに彷徨う

甘く時を止めてさり気なくぬくもりに揺れてたら
短すぎる永遠と抱き合って泳ぐ

そっとそっと波に浮かべた 月さえ駆け出すように
心の窓に鍵かけ 凍える冬のはじまり

夢で遊ぶ幻 花のようにそっと
朝が来れば忘れてく

蒼く沈む時を寂しさと気付かずにいたけれど
静けさにとめどなく流れ出す言葉