届かない手紙
©1996 青野りえ

戻れない帰り道を歩き始めた午後には
花びら足跡につもる

夕べの悲しい嘘は寂しい風のいたずら
言葉は雨雲に隠れ

差し出した傘から雨が零れる
届かない言葉溢れてる

手紙も書けずにいるよ 君が泣いたあの日から
今でも少しは痛むよ

果てなく広がる街を夕日が照らす頃には
心で鐘の音響く

こうして歩き出すんだ 終わりのない坂道を
想いはため息に残し

届かない言葉で胸が溢れる
口笛ひとつで話せたなら

心に映る景色は変わってゆくものだから
誰にも止められないから

差し出した傘から雨が零れる
届かない言葉溢れてる

戻れない帰り道を歩き始めた午後には
心で君がそっと笑う