c/w 加藤姉妹/とよばん/エレキバンドオコノミヤキ/イキマウス


誰もそんなことは思いつきもしなかった。そう、8/28に出来上がったブラバのCD(編註:正確に言うと音源のマスター)は、必ずこの日に発売されるものと誰もが信じていたはずである。ところが、である。「いやー、(プレス会社の)見積もりみてびっくりしたよ。普通に10/16とかって書いてるんだもん(笑)。参っちゃったね」(いしかわ)。さらに悲劇はこれだけにとどまらなかった。いしかわ所有のiBookが突然起動しなくなったのだ。「これもすっかり参ったよ。何しろ、ブラバの全部のデータが入ってたんだもん。おかげでマスターのデータが何にもなくなっちゃった。だから、新譜以外のCDはもう同じ音質では作れないし、ジャケットとか、ロゴとかのデータもすべてパーだよ」(いしかわ)。辛うじて4thアルバムのマスターはプレス会社に送られていたため問題なしということで事無きを得た。(編註:皆さんもデータはこまめにバックアップしましょう。)

このライブでは、衝撃的な出会いもあった。対バンのエレキバンドオコノミヤキは、東京から来たバンド。本番を待つ間、ギターの中山氏と談笑していたときに、その衝撃的な出会いが。(編註:かっこ内は心の動き)「あのー、もしかして関西の人ですか?(どこやろ、ごっつ大阪っぽいなあ、この人ら。けったいにビール飲んではるし)」(中山さん)「ええ、僕京都ですわ。(関西ちゃうねん。京都やねん)」(Dr.ASH)「そうですかー。(なんや、京都かー。きっとワンランク上とか思ってるんやろうなあ)」(中山さん)「中山さんは?(京都やったらええなー)」(Dr.ASH)「僕、奈良なんですわ(田舎やと思ってるんちゃうん?)」(中山さん)「えーーー、奈良???うちのメンバー、2人奈良やでー(なんや、もしかして近いんちゃうん?)」(Dr.ASH)「うわ、ほんまですか?(うわ、めっちゃうれしいなあ。こんなとこで会うもんなんや)」(中山さん)「ちょっと呼んできますわ。(めっちゃローカルネタで盛り上がるんちゃうん?なんで京都ちゃうねん)」(Dr.ASH)。ここでガル師匠登場!「えーーー、奈良なん?どこ?西大寺?一緒一緒!!!!!」「えーーー」「あのさ、『ゾンビ』知ってる?」「あああ!知ってる、ゾンやろ?」「・・・・以下約2時間ほど奈良ネタなので省略・・・・」しかも、中山さんとガル師匠は、同じ地区、自転車で5分くらいのとこに住んでおり、小学校、中学校も同じ!「なんて狭いんだろうね。びっくりだ。おかげで俄然やる気が出て来たよ」(ガル師匠)。音楽をやっていないと絶対に会わなかったであろう2人が、こうやって浜松で出会うなんて。「こういうときに音楽さんの力を感じるね」(Dr.ASH)

そんな前置きはともかく、そういうわけで今回のライブは、発売記念ライブならぬ、発売予告ライブとなってしまった。どこまでもゆるゆるな面々である。場所は浜松に新しくできたライブハウス「窓枠」。今回対バンのイキマウスのカミジマくんに誘われて実現したこのライブだが、他のバンドも多彩な面々がそろい豪華絢爛。しかも、ブラバの兄妹ユニット「加藤姉妹」も参戦。これは見逃せない、と集まったオーディエンスも多数。さぞかし気合いの入った・・・と思うと、リハの段階からビールをあおるメンバー。おいおい、いつもの出来レースかよ、という塩梅。(編註:人間簡単にはかわらないものだ。)

さてさて、そんなことはともかく、加藤姉妹でつかみはOK、とよばんで暖まったステージに颯爽と現れたブラバ。今か今かと音を待つオーディエンス。まずはしっとりと「心の声」から。「定番だね。今日は時間も短いから、通して1曲のようなアプローチをしたかったんだ」(いしかわ)。「まずはじっくりと暖めて、少しずつ気持ちを充実させていくんだよ」(てっちゃん)。続いて「ふたり」。「この曲やってると、なんかいろいろ思い出して燃えるんだよね」(Dr.ASH)の言葉でも判るように、一気にヒートアップ。会場全体が緊張感に包まれる。でも、どこかふと気を許した感じがあるのはやはりブラバの「バンドとなり」か。さらに続けて「Yes I Do」に続く。「エロいよね。歌詞が。でもさ、照れくさくないんだよね。何だろう、それって、言わば抽象画の世界に近いのかな。ヌードの絵画のような世界観だね」(ガル師匠)。ここでMC。CDがなぜ販売されていないかを詫びるいしかわ。ここから後半戦。まずは、全国自然を歌おう会の'02年度推奨曲となった(編註:相変わらずの大嘘)「台風」。涙するオーディエンスが後を絶たない。「でもさ、今年はしゃれにならないくらい被害が出てるよね。僕らはこの曲で家庭の暖かさとか、やさしさとかを歌ってるんだけど、台風で亡くなられた方、家族を亡くしてしまった方がいらっしゃるかと思うと、本当に胸が痛むんだ。だからこそ、大事に歌いたいんだよね。残された方が亡くなられた方の分まで幸せに生きていけるように、いつも笑顔でいれるようにね」(いしかわ)。続けて「There is nothing, but here is something」の重厚なイントロが続く。「なんたって、今日はロックナイトだからね」(Dr.ASH)。ガル師匠のアツいギターソロに触発されて、どんどんとヒートアップしていく。MCでは12月に控えた5周年記念ライブの話を少々。今回はMerry youで行われることが決定。皆さん、乞うご期待。ゲストも楽しみである。ラスト2曲として、「ドライブ」「Good Night」と続く。「これまた定番だよね。ある意味、今回のアルバムは"定番"っていうのがキーワードなのかもしれないね。奇をてらうこともなく、坦々としてるのって、僕は大好きなんだけど、ライブもそういう感じでこれからやっていきたいんだよね」(いしかわ)。最後の「Good Night」を聴いて、温かい気持ちになったオーディエンスは、いつまでも拍手をやめようとしなかった。


セットリスト
心の声
ふたり
Yes, I Do
台風
There is nothing, but here is something
ドライブ
Good Night


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