c/w タカユキサルバドール
2005年8月21日(日) 浜松 esquerita 68


てっちゃんの脱退から数ヶ月が過ぎようとしていた。このままブラバは何もせずに終わってしまうのではないか、そんな噂がちらほらと流れ始めた頃だった。あの男からいしかわに1本の電話が入る。「いしかわさーん、ちょっとー、うちの店でやってほしいんですけどー。ええ、ブラバっす。うちの店、アコースティックしか出来ないんでドラムなしでお願いします。」あの男とは、ポルカドットスリムのオーナー、後藤さんである。「ブラバが今あるのは、後藤さんのお陰だよ。だってさ、解散してるのに、対バンブッキングする人だよ。そんなパワーに僕らは引っ張られたんだ。だから、今回もちょっと運命を感じたよ」(いしかわ)(編註:ご存じのとおり、ブラバは一度解散していたが、山川ノリヲさんが来るので対バンをしてほしい、という後藤さんの要望で復活した、という経緯がある)。

今回の対バンはタカユキサルバドール。日本語でルーツミュージックを大切に歌っている面々である。久しぶりの浜松だということで、うなぎが恋しくなっている様子。ウナギボーンは塩味の方が美味しいよ。

またしても、ここで伝説は守られる。「ブラバのライブは雨」。しかし、これには語弊がある。正確に言うと「Dr.ASHは雨男」と言うのが正解。うん、間違いない。(編註:しかしながら、まだ誰もそれを実証できていない)。「あのさー、それ、おかしいって。おれ、全然晴れ男やって」(Dr.ASH)。「なんだかんだ言ってさ、まだ証明されてないんだよね。まあ、僕と浜ちゃん(ベーシスト)が雨男と言われてるけど、この前一緒に演奏したときはカンカン照りだったしねえ。だから、僕が雨男でないことは証明されたんだけど、じゃあ、ブラバのライブで雨が降るのはなぜ、っていう疑問には、まだ誰も答えてないよね。まあ、僕が思うには、y(編註:放送コードにひっかかるので略)」(いしかわ)。

そんなくだらない論議はさておき、ライブは厳かにスタート。1曲めは「ドライブ」。疾走感溢れるこの曲を、なんとドラムなしでやるとは。「何だろう、僕らの、決意とでも言うのかな」(ガル師匠)「いつまでもドラムに頼ってちゃいけないな、って思うんだよね」(Dr.ASH)「ドラムがあるもんだ、と思わなければいい話でさ、僕らはまた一からスタートしてるんだから、これがデフォルトだと思えばいい、ってことだよ。自分で自分の首を締めてたんだろうね」(いしかわ)。やはり久しぶりのライブなのか、力みが見えるブラバ。しかし、そんなことはまったく関係ないくらい、ここには新たな世界観が生まれようとしている。続いて「届かない手紙」。「古い曲はもともとアコースティックだからやりやすいよね」(Dr.ASH)「でも、僕らも少しずつだけど、成長してるんだよね。それを今は実感出来るよ」(ガル師匠)。いろんな思いがいっぱいに詰まった演奏が客席を包んでいく。超満員の会場の力が、少しだけゆるっとした時間(編註:イメージ)。さらに続けて「ふたり」へ。切々と、そして坦々と歌い上げるブラバ。それぞれがそれぞれの歌を、思いいっぱいに伝えようとしている。そう、今回のライブは、ブラバの思いがいっぱいに詰まっているのだ。「ある意味、路頭に迷ってたもんね。これからどうしよう、みたいな。このまま終わるのかな、とかね。でも、やっぱりそんなわけないんだよね」(Dr.ASH)。続けてしっとりと「Goog Night」が続く。青野りえの歌詞が、切なく、でも、優しい気持ちを歌っている。ブラバもこの曲のように、大人になって、人が判って、それでいいのかもしれない。畳み掛けるように「Too Late, Tonight」へと続く。冒頭のイントロでは、いしかわがポルカドットスリムへの思いを語る。それぞれの心の中にしっかりとあるポルカが、思い起こされる瞬間。ガル師匠のギターがむせび泣く。優しいDr.ASHのベースが空間を包む。いよいよ大詰めを迎え、健康を気遣う話や、過去のシングルにカラオケを入れたが歌詞カードを入れてなかった話を踏まえてブラバが選んだのは新曲「あじさい」。Dr.ASHの記念の日に作られたこの曲が、会場を一気に温かい気持ちで包み込む。そして最後は「日焼け跡」。しつこいくらいのメンバー紹介はtheつじどー譲り。気がつくとブラバペースに引き込まれたオーディエンス。後に出演するタカユキサルバドールに、アツいバトンを手渡した。
---セットリスト---
ドライブ
届かない手紙
ふたり
Good Night
Too Late, Tonight
あじさい
日焼け跡


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