ザ・ブラックバス meets ゆき
c/w 東雲。
2005年10月08日(土) 浜松 Jazz in B♭
8月の復活ライブをなんとなく成功で終わらせたブラバだが、ここに来て周囲の声が気になり始めた。
「この前のMusic A Go Goのやつさあ、見れなかったんだよねー。やらないの?」(編註:いやー、そのー。。。)
「一度でいいから、見てみたいんだよねー。もうやらない?つまんないのー」(編註:いや、やっぱりイベントというか、お祭りなんで。。。ぐはっ。)
「ブラバのライブっていつも雨だよね?」(編註:あのー、関係ないと思います。。。)
リーダーいしかわが満面の笑みでこう言う。「しょうがないなあー」(いしかわ)
というわけで実現したブラバとドラムのゆきちゃん(渡辺由希子)の共演である。「いやさ、ホントにやるつもりはなかったんだよ。僕らはてっちゃんの脱退を通して、やっぱり3人であるべきだと思ったし、それがある意味ブラバらしさだし、楽曲に対しててっちゃんが作ってくれた空気感を大事にしてるからね。」(いしかわ)「でも、それはそれであるけど、一方で、こういうのが聴きたい、っていう声も、僕らは無視できないんだよね。現に今まで僕らはそうやって姿を変えてここまで来てるわけだし。大体、ブラバっていう決まったフォーマットも、実はないんだよね。ある意味、今ある姿がブラバです、っていうね」(Dr.ASH)「だからこそ、今回のカタチしかり、3人のアコースティック路線しかり、どっちも今の僕らの音だし、それぞれを楽しんでもらえればそれでOKだと思うんだよね」(ガル師匠)「まあ、そんな感じで、堅く考えることなくて、毎回のライブで、気持ちいい音が出せればそれでいいかな」(いしかわ)。 てっちゃんの脱退から、一回り、いやふた回りも大きくなって帰って来たブラバ。頼もしいぞ。「まあ、確かに、かなり太ったよね。おれ」(いしかわ)(編註:4kg増量中。減量のめどは立たず。)
さて、そんな能書きは聞いていられないので、早速当日の模様を。まずは昼過ぎに、恒例となった当日リハで集合。「これがないともう駄目な身体なんだよね」(Dr.ASH)。録音機器も万全の体制でリハに臨むメンバーたち。「なんて言うか、経験則だよね。本番前のリハが一番出来がいいのはもう判りきったことだからね」(ガル師匠)「これさ、シークレットライブとか言ってCDにして発売しようか(笑)」(いしかわ)「楽しいー」(ゆき)。至極のひとときを満喫するブラバ。これまでのダラダラした本番前が嘘のよう。おいおい、ホントに大丈夫か?
リハ後は終止ご満悦の笑顔で会場となるB♭に向かう。途中ビールとおつまみを買おうとするも、近所のコンビニには酒を置いてない様子。「いやいや、世知辛い世の中になったもんだねえ」(いしかわ)(編註:あのー、普通だと思います)。仕方がないので、そのまま会場入り。早速セッティングとサウンドチェックをスタート。ここで奇跡が起きる。「いやー、びっくりしたよ」(いしかわ)「こんなにサクっと決まるなんて、今までないんじゃない?」(Dr.ASH)「一発目からばっちりだよね」(ガル師匠)「楽しいー」(ゆき)。サウンドチェックの最初に出した音で、バランスはばっちり。こんなこと、今までにあっただろうか!(編註:PAの方がブラバのこと知ってるだけなんじゃないのー?)早くも今日の素晴らしきライブを予言するかのようなリハである。
だらだらといろんな曲を演奏しているうちに、今日の対バンである「東雲。」が到着。3月に共演したホッキボーイズの主要メンバーであるラリー小野田氏を筆頭に、後藤カナちゃん、Satomiちゃんの両名、そしてRISAKOのバンドで共演したギタリストのTakeさんと、ブラバにゆかりの深いメンバーが揃ったバンド。いわばファミリー。そして家族。(編註:同じです)。久々の再会をともに喜ぶのもつかの間、サウンドチェックを始める東雲。。独特の雰囲気を持つ楽曲、日本の心を忘れないメロディがぐいぐいと心に迫ってくる。これまた、今日の素晴らしきライブを確信するに至る要因となる。
満足なリハ終了後、一同は聖地ガストへ集う。これからライブだというのに、打ち上げのような雰囲気で話が弾む。「いやー、今日はよかったねー」(いしかわ)「ほんと、大満足だよ」(ガル師匠)「もう帰ってもええわ」(Dr.ASH)「楽しいー」(ゆき)「ねえねえ、ゆきちゃんって、彼氏居るの?」(ラリー)。様々な告白(編註:内容は後述)がありつつも、おっといけない、もうオープンの時間だということでそそくさと会場に戻る。
さて、ここで忘れてはならない格言がある。「ブラバのライブは雨」(詠み人知らず)。誰もが信じて疑わない、この格言だが、その伝統は今日も守られた。思えばオリンピックの聖火が、何百年の歴史を見て来たように、ブラバの雨も、これから長い歴史を刻むブラバを見届けていくのだろうか。雨男は言う。「今日こそ降らへん、と思ってんけど。。。っていうか雨の女王が絶対居るねん!」(Dr.ASH)。最近雨男の汚名を返上したいしかわは余裕の表情。「いやさ、僕はね、単に演奏機会が多いだけで、雨男じゃないのよ。もちろん、ブラバの日は雨が多いのは事実だけど(笑)、それ以上に晴れた日に演奏してるよ。カンカン照りとか、すごいよ」(いしかわ)。(編註:そんな低レベルな話はもう聞き飽きた)。しかし、ここで奇跡が起きる。なんと、ライブがスタートすると雨が止んだのである。(編註:Dr.ASHの供述なので、錯誤してる可能性あり)。これまた今日の素晴らしきライブを彩る要因のひとつとなった。(編註:いや、でも、始まる前と後では降ってたので、お客さんにとってみれば一緒)。
東雲。がしっとりと会場を温めた後に、満を持してブラバが登場。ひとり、またひとりとステージに集まる。客席は超満員(編註:当社比)で、今か今かとスタートを心待ちにしている。上はや○さんから下は4歳半の娘さん(編註:1人で立てる最年少記録!おめでとうございます!ちなみに、1人で立てない最年少記録は0歳)まで、老若男女が集う今日の客席も、いつもとは違う雰囲気。それはそうだ、なぜならドラムにはゆきちゃんが座っているのだから。「何だろうね、やっぱり3人のイメージ、そして、てっちゃんがそこに居るイメージっていうのがあったと思うよ。でも、僕らはこれから出す音がすべて答えを出してくれるっていうのを確信してたんだよ」(いしかわ)。その言葉のとおり、1曲め「心の声」でゆきのハイハットが解き放たれた瞬間、一気に世界が広がっていく。「これだー、と思ったね。ぞくっとしたよ」(ガル師匠)「これから、何かとてつもないことが起きようとしてるんじゃないか、って、ちょっと怖くなったよ。でも、すぐに我を忘れて音を出してたね」(Dr.ASH)「楽しいー」(ゆき)。1曲めからガンガン飛ばしていくブラバ。
続けて「どうよ?」へ。この連続技も王道だ。「これはゆきちゃんの得意なグルーブだよね。8ビートなんだけど、16ではねるってやつね。特に、ギターソロから、歌に抜けて行くとことかさ、いいところが出せたんじゃないかな」(いしかわ)「楽しいー」(ゆき)。
テンションもさめやらぬままMCが入り、「Too Late, Tonight」がスタート。「この曲を早めにやることで、なんて言ったって僕らのテンションが上がるんだよね」(ガル師匠)「燃える感じっていうのかな、ぐぐっと内面で熱くなるんだよね」(Dr.ASH)「楽しいー」(ゆき)。いつもよりも泣き具合30%増量なソロを聴かせるガル師匠。それを煽る3人。特にDr.ASHとゆきちゃんのリズムは、しっかりと寄り添い合ってさらに音に気持ちを乗せていく。まだ3曲めだというのに、このテンションはなんだ。
さらに、2005年度教育委員会主催「教科書に載せたい歌100選」にノミネートされた(編註:嘘)「台風」が続く。「今回は、あり得ないくらい王道な選曲をしたんだよね。それはオーソドックスに、グルーブを聴いてほしかったというとこもあるし、逆に、今まで何度もやって来た曲が、ゆきちゃんの力でどう変わるかっていうのを確かめたかったのもあるよ。いい悪いではなくてね、どう変わるか、それに僕らがどうやれるか、まあ、一つの挑戦だよね」(Dr.ASH)。「空気感という意味では、てっちゃんと一緒に作ったものは一つの完成形だよね。だからこそ、ゆきちゃんとやったときの雰囲気は、それと同じにならないように、いろいろ考えたよ。だって、どっちも僕らにとっては最高なんだもんね」(ガル師匠)「今年も台風は大変だったから、いろいろ想いが駆け巡ってしまったよ。僕は親父が居なかったからよく判んないけど、自分が親になってみて、何か歌詞の意味がちょっとだけど判るようになってきたよ」(いしかわ)(編註:あのー、あなたが書いた曲だと思いますが。。。)「楽しいー」(ゆき)。
会場が涙涙の大合唱(編註:イメージ)となった後は、「季節がわり」。Dr.ASHの切ないベースソロがさらに会場の心をえぐる。歌心に溢れまくった丁寧なソロに、さらにメンバーが応えていく。寄り添うようにビートを刻むゆきちゃん、きめ細やかなカッティングでバックビートを支えるガル師匠、そして、切々と、坦々と歌い上げるいしかわ。「古い曲なんだけどさ、全然古くならないんだよね。むしろ、今の方が等身大な気がするよ。昔は背伸びしてたんだよね。」(いしかわ)。
ここでMC。歌詞カードを見ていたガル師匠を踏まえて、「歌詞というものは生き物ですよね」との名言(編註:間違えてるだけ)をいしかわが残す。さらにDr.ASHの近況を大いに報告。満を持して新曲「あじさい」。Dr.ASHの結婚を祝って書かれたこの曲も、やはり会場は涙なくしては聴けない(編註:だから、イメージ。妄想に近いかも)。「あじさいの花も、いつもの雨も、すべてがほら、目の前で輝いてる」という歌詞に、なぜか頷く会場一同。そう、ある意味ブラバのテーマソングと言っても過言ではない。会場では涙で嗚咽し、嘔吐する姿も(編註:大嘘)。
さらにこれでもか、というくらいに畳み掛ける「ふたり」。最近メンバーの中でも最も思い入れの深い曲である。ここでもゆきちゃんの鬼のようなグルーブが活き活きと支えていく。「やっぱり16グルーブの8ビートなんだよね。これってさ、みんな意識してないと思うけど、すごく大きいとこでさ。ブラバの曲って結構そういうの多いんだよね」(いしかわ)「いつもよりも丁寧に、さらに丁寧に演奏したよ。何だろう、ここに有ってほしいところに、音があるというか。そんな不思議な感覚だったよ」(Dr.ASH)「燃えたね。ぐっときた」(ガル師匠)「楽しいー」(ゆき)。いつもよりも長いギターソロがその燃え具合を物語っている。これでもか、と言わんばかりのブルージーなそろに、オーディエンスも熱い拍手で答える。ブラボー!そんな声が至る所で上がり、スタンディングオベーションの雨霰(編註:もう疲れた。イメージです!いや、妄想!!)。
いよいよクライマックスへ向かっていく。おもむろないしかわのギターで始まったのは「日焼け跡」。これはなんと、レコーディングバージョンに近いアレンジだ。「この曲は毎回アレンジ違いを楽しんでもらうのがミソだからね」(いしかわ)。ゆきちゃんのリズムパターンはヘッドハンターズの名曲「カメレオン」を彷彿させるFunkなアプローチ。それに影響され、Dr.ASHもいつもとは違うフレーズで応戦。「これぞ、インプロビゼーションだよね。何が生まれるか判んないっていう」(Dr.ASH)「楽しいー」(ゆき)。途中のソロ廻しは、普段ソロを弾かないいしかわから。アコギでジョンスコを彷彿させるアウトフレーズ満載のソロを畳み掛けていく。「いやー、一度やってみたかったんだよね。最近他のバンド(Moody (K)nightsなど)でさ、ジョンスコみたいなアプローチやってるんだけど、最近みんなあんまり笑ってくれないんだよ。でも、ブラバでやったら面白いだろうな、って思ってね」(いしかわ)。満面の笑みで外しっぱなしのソロを畳み掛けるいしかわを、包み込むように3人が寄り添う。「こういうのも面白いよね。もっと弾けばいいのにね。そしたらおれ、楽なのに(笑)」(ガル師匠)。
メンバーも紹介され、息の長い苦しいサビを終えた後は、Music A Go Goでも演奏した「情熱」。「ある意味、この曲のグルーブが、ゆきちゃんと僕らをつないでくれたと言っても過言ではないね」(Dr.ASH)。正確な、しかも活き活きとした流れのあるグルーブをたたき出すゆきちゃん、これでもかと言わんばかりに歌いまくるDr.ASH、メロディアスなソロの最後に、アツいチョーキングでブルース魂を叩き込むガル師匠、声が無くなるまで歌い続ける気持ちで力を振り絞るいしかわ。すべての音がひとつになって、巨大な魂を創りだす。ここここ、これがブラバ?まるで、ブラックホールに引き込まれるかのような錯覚を覚えるオーディエンス。もう抜け出せない至極のグルーブがここに。
そして、最後の曲は「ぐうたら」。ガンガンにアツくなった会場をほっこりと温かい気持ちにちょっとだけクールダウン。「行き過ぎは禁物だって、細木数子の本に書いてあったんでね(笑)」(いしかわ)。タイトなサウンドが、何だかぐうたらな気分にさせない。(編註:駄目じゃん。)しかしながら、なぜかゆるい気分にさせるところがブラバサウンド。すっかりと温泉に浸かった気分で終了した。
しかし、こうなるとタダでは済まさない。アンコールの雨。(編註:外は雨。)。ここでブラバが選んだ曲は「ドライブ」。「これさ、ホントはやる予定なかったんだよ。でも、リハで試しにやってみたら、すごいノリノリでね。急遽やることにしたんだ」(Dr.ASH)。ここにきてゆきちゃんのスーパードラムぶりを改めて実感することとなる。「何が起きてるか、正直判んないよね。そのくらいすごかったよ」(いしかわ)。キレのあるしなやかなスネアと、ハイハットが絡み、さらにDr.ASHの繰り出す強力なベースが織りなす魅惑の5分間。「これが答え、だよね」(ガル師匠)「間違いないよね」(Dr.ASH) 「楽しいー」(ゆき)。終わった瞬間も、まだまだ続くかのような余韻に包まれて、ブラバとゆきちゃんの共演は幕を閉じた。
さて、自分たちが大満足したライブであったが、やはり、「いやー、誰も録音してないんだよねー(笑)」(いしかわ)。この記念すべき、そして歴史に残るライブは、メンバーと、そしてオーディエンスの心の中で、いつまでも輝き続けることとなった。
---セットリスト---
心の声
どうよ?
Too Late, Tonight
台風
季節がわり
あじさい
ふたり
日焼け跡
情熱
ぐうたら
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ドライブ