うたごころ 2005
c/w 田辺マモル
2005年11月20日(日) 浜松 esquerita68


年末が近づき、世の中が慌ただしくなってくるにつれて、この男たちもまた精力的に動き始めようとしていた。そう、われらがブラバである。前回のライブから1ヶ月ほどで次のライブをブッキング。「いや、意識してるわけではなくて、たまたまだよ。スケジュール空いてたし(笑)。でも、まあ、やっぱり月1回くらいがいいかなー、と思ってね。今までそうやってきてたわけだし、前回とその前がぽっかり空いたから、そのブランクを埋めたかったのはあるね」(いしかわ)「年末(6周年)もあるし、ここらへんで勢いを途切れさせないようにしたいからね」(Dr.ASH)。今までにない意気込みである。大丈夫か?

この日の天気はなんと晴れ。「当たり前じゃーん」(Dr.ASH)「もはや伝説となったよね」(ガル師匠)「一度ちゃんと数えればいいんだよね」(いしかわ)。ということで、ライブのインデックスに、その日の天気を表示したところ、過去32回のライブのうち、10回が雨。約1/3が雨であるが、確率としてはごく普通か。「ほら、見てみなよー。大体印象でみんなモノを言い過ぎだということだ」(Dr.ASH)。(編註:ちなみに浜松の統計だと、平成16年の記録で、365日中106日が小雨、もしくは雨。浜松の雨確率は.2904、ブラバの雨の確率は.3125で、若干ブラバの雨率が高い。)

そんなどうでもいいことはともかく(編註:ブラバの話題で一番アツいのは雨話なのに?)、まったりと集合するブラバ。いしかわはお酒を飲みたいがためにDr.ASHの車に同乗。「いやさ、やっぱりね、調子いいんだよね、飲むと。普通は駄目になるっていうじゃない?僕の場合は逆なの。なんだろう、普段細かいことばっかり気になるから、そのあたりが緩和されるのかな」(いしかわ)(編註:勘違い。大雑把の権化の言葉とは思えない)。ところが、到着してギターケースを開けると、いつもと違うギターが入っている。「あれー、やっちゃったな、って感じ。びっくりだ」(いしかわ)「こんなことだろうと思ったよ」(Dr.ASH)「ま、慣れっこだけどね」(ガル師匠)。しかし、切り替えも早いブラバ。「すぐに馴染んだよね」(いしかわ)。

大事件をもろともせず無事リハを終え、対バンとなる田辺マモルさんとともに控え室でだらだらと。ビールを飲みつつ上機嫌ないしかわ。(編註:そんな話はいいので、早くライブの話を。)

お客さんが会場を埋め尽くしたあたりでおもむろに登場したブラバ。イントロを始めるやいなや、マイクでジン・ビームのロックを注文するいしかわ。そんな中空気感溢れるサウンドが会場を包み込む。「Too late, tonight」だ。ハプニングで持ち込まれたYAMAHAのアコースティックギターが、いつもとは違うやさしさを醸し出す。「いやー、神様はこれをギフトとしてくれたんだね。間違いに感謝」(いしかわ)。応えるように心のこもった低音で支えるDr.ASH。そして、そのやさしさの中にある芯の強さを表現するガル師匠のギター。これぞ三位一体。これぞブラバサウンド。会場はいっきに引き込まれて行く。続いて「さよならの歌」がスタート。1stアルバム「ここぞとばかりに」からのセレクトだ。「ちょっとアレンジも変わって、今の僕ららしいサウンドになったんじゃないかな」(ガル師匠)。後半のボーカルとギターのフェイクがたまらない。ここでMCをはさみ「夕暮れ」へ。3人のアンサンブルに、パーカッションサウンドが聴こえるかのよう。「心の中では、常にパーカッションというか、リズムが鳴ってるんだよ」(いしかわ)「みんな一緒にその音が聴こえるんだ」(Dr.ASH)「しかも、同じ音がね」(ガル師匠)。続いて「サブリナ」。「ほんとは最初、今回のライブはボサノバ特集にしようと思っててね、でも、無理してやっても違うな、と思って、結局今までやってきた僕らのやり方に戻したんだ。だからこそ、この曲の存在感が増したと思うよ」(いしかわ)。意味深な歌詞と哀愁のメロディが会場を包み込む。ここでMC。「次は季節ものです」ということで始まったのは至極のバラード「冬のぼくたちは」。涙するオーディエンス。「この時期しかできなからこそ、響くものがあるよね」(Dr.ASH)。いよいよ後半戦へ突入。(編註:戦いなの?)。ここでブラバが選んだのはニューシングルと期待される「あじさい」。「この曲は大人気なんだよね」(いしかわ)「何だろう、普遍的というか、誰でも感じることができるんじゃないかな」(Dr.ASH)「多分長く歌われる曲になると思うよ」(ガル師匠)と、メンバー自身もお気に入りのバラードで、またもや会場は涙が止まらず。ここで手を緩めないブラバ。続いて「詩人が選ぶ日本の歌50選」に選ばれた(編註:相変わらずの大嘘)「台風」。涙に涙を重ねて、会場中のマスカラが流れ落ちる勢いだ。最後は「ぐうたら」。ブラバのテーマソングと言っても過言ではない、のんべんだらりとした雰囲気が、泣きつかれた会場をやんわりほぐしていく。スタンディングオベーションはいつまでもブラバの背中を追いかけていた。そして、メンバーは皆終止笑顔であった。

満足のいくライブの後には、必ず切ない時間が待っている。「誰もさ、録音してなかったんだよなあ。ま、いいけど」(いしかわ)。残念そうな物言いとは裏腹に、メンバーの表情には「僕たちは、やれば出来る子です」という満足感と、6周年に向かう意気込みが溢れていた。


---セットリスト---
Too Late, Tonight
さよならの歌
夕暮れ
サブリナ
冬のぼくたちは
あじさい
台風
ぐうたら


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