BANDNIGHT


急きょ出演が決まったバンドナイト。当然のごとくエントリー後に予定を確認(笑)。「最少興行人数2人」というゆるいのか厳しいのか判らないルールを持つブラバであるが、今回はいしかわ服部あっしゅザ・ブラックバス・ドットコム(以下ブラコムと略)で参戦となる。思えばかれこれ3年ほど前、有楽街での華麗なるデビューと、中野督夫氏の前座として衝撃的なステージを繰り広げたこのブラックバカコンビが久々の復活である。果たしてどのようなステージが繰り広げられるか。

前日のリハーサルでの2人は、それはもうアツいものがあった。怒濤のごとく繰り広げられるP-FUNKメドレー〜Led Zeppelinメドレー〜AC/DCメドレー(編註:やる曲とちゃうやんけー!)を胸に、次の日に行われるライブの華麗なる姿をイメージし、満を持しての登場!となるはずであった。

早速現地に入る2人。するとタイバンである「豊岡オールスターズ」がリハーサルを行っている。うおー、楽しい!!大満足のブラコム。サザンのナンバーを一緒に熱唱。その後木許氏率いるK-Proのリハが始まり、その満足度はピークに。「正直、もう帰っていいわ」(Dr.ASH談)。ところが、この後姉さん、事件です!困ったことにブラコムはトリを務めることに決定!本来は前座バンドとして最大限の力を発揮するブラコム。野球で言えばバント職人川相に4番を打たせるようなものである。もっと言えばスパローズの抑えの切り札安田に先発させるようなものである(編註:謎)。しかし、この大抜てきにも2人は動揺せずビールをしばき続ける(笑)。緊張を隠そうとしているのか、それとも押さえられぬ興奮を静めようとしているのか。「いやー、今日は満足だねえ」(いしかわ談)。何だ、単純に2バンドを楽しんでいただけであった。とほほ。。。

時間は人類すべてに平等に過ぎて行く。いよいよブラコムの出番だ。おもむろにイントロを弾きはじめるいしかわ。するとマイクに向かって「ステージにビールを1杯お願いします!」。あげくイントロを止めて受け取り、一口飲んだ後、何ごともなかったかのように続きでイントロを弾きはじめる。3拍子のリズムが新鮮だ。歌い始めてみたら何と「the day afternoon」だ!代表曲でありながら最近演奏されなかったが、このようにリメイクされていたとは驚きを隠せないオーディエンス。しかし、その驚きはいつしか心地よいグルーブに変わっていた。「3拍子ってマジックなんだよね。何でもそうだけど3っていう数字には神秘を感じるんだ。もっとも安定した形っていうだろ?それに、何しろ僕の出席番号も、野球の背番号も、ポジションも全部3だったからね」(いしかわ談)という謎なコメントをライブ前に残しつつ坦々と進めてゆくブラコム。Dr.ASHのランニングベースが支え、いしかわがコードをソロをと縦横無尽に弾き倒す。そう、今日は相棒のガル師匠もいない。「弔い合戦だよ」(Dr.ASH談)(編註:さらに謎。何がだ。)。続いてイントロを弾いたのは初期ブラバの名曲「季節がわり」だ。Dr.ASHのシンプルにしてツボを押さえたベースソロが心に残る。サビでは本来なっていないはずのコーラスが聞こえるかのような(編註:イメージ)空気感。簡単な挨拶のあと、「サブリナ」へ。イントロのギターソロでは、いしかわのアバンギャルドでモーダル、かつ実験的なサウンドが炸裂(編註:素直にミスタッチと言いなさい。)!!一気にジャジーな雰囲気へ。マイルス・デイビスがもし生きていたら「今の音はクールだ。しかし我々は前に進み続けていかなければいけない」(編註:このコメント、関係なくないか?)とコメントするだろう。続けて「地方都市から発信された名曲100選」に見事選ばれた(編註:うそ)「とぼけた顔」へと続く。いつもよりも大切に、思いを込めて伝えようとするいしかわ。そう、前日のリハーサルでは「すっかりバンド慣れしちゃったから、正直演奏は悩ましいかもしれないね。でも、どんな演奏であれ、シンプルに"歌"を伝えようじゃないか、って2人で話したんだ」(Dr.ASH談)と言っていたとは知る由もなかったが、ここにステージからオーディエンスに伝わっていた。涙を隠せないオーディエンス。楽曲重視の姿勢が、普段に比べて少ない音でも変わらぬ感動を届ける。これぞ2人が目指していたところではないだろうか。ちょっと落ち着いたMCの後、これも代表曲である「too late,tonight」へ。ブルージーなソロは今日はいしかわが弾くことに。「心の中で、岡本ちゃんが一緒に弾いてくれたんだ。てっちゃんもさ、もちろんアツいビートを刻んでくれてたから心強かったよ」(いしかわ談)と言うように、宇宙と会話しながらビシバシとソロを弾き倒すいしかわ。思えばブラバではいつもバッキングに徹しているだけに、新鮮なものがある。さらに「夕ぐれ」へ。「実はこの曲、やる予定なかったんだ。だから最初いしかわに”違う!”って言ったんだけど、そのまま行っちゃったんだよね。ちょっと困ったけどでも、今考えると流れは自然だよね」(Dr.ASH談)。いしかわの歌はさらにアツく、そしてどこかゆるく、会場を包み込んでいる。そしてそれを坦々と支えるDr.ASHのベース。2人の楽曲に対する愛情がひしひしと伝わって来る。最後は久しぶりのカバーで、benzoの名曲「落下ドライブ」で締めくくる。全7曲を全身全霊でやりきったブラコムであった。

終了後、2人は無言のままだった。そして一言「今日のK-Proと豊岡オールスターズ、よかったなあ」「うん、満足だったなあ」。やはり彼らはオーディエンスのままであった。

今回のライブは、2人にとって大きな収穫をもたらした。2人でやることによって削ぎ落とされたぜい肉は、次のバンドでのライブにきっと生きてくるに違いない。頑張れブラバ、頑張れ日本!


セットリスト
the day afternoon
季節がわり
サブリナ
とぼけた顔
too late tonight
夕ぐれ
落下ドライブ


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