2004年最初のライブは、磐田市勤労青少年ホームで行われる「サロンコンサート」。浜松を代表する超絶ピアノトリオ「STOMPIII」が出演出来なくなったため、急きょピンチヒッターとしてブラバに白羽の矢がたったということで、今回はてっちゃんが都合がつかず欠席。ドラムレスでの初期ブラバ形式でのお届けとなった。
さて、当日は朝から雪が降る。「ブラバのライブは雨」というジンクスはこの日も守られた。「こうなったら死ぬまで降ってほしいね(笑)」(Dr.ASH)。「寒いと吐き気がするんだよね。だから気候が温暖な浜松を永住の地としたのに、雪なんか降られたらたまらないよ。第一、僕の身体は寒冷地仕様じゃないんだ」と辟易しているいしかわ。すっかり出鼻をくじかれている。おいおい、大丈夫か?
夕方15時30分頃ガル師匠の車で出発。途中寄り道もせずスムーズに到着!と思いきや、地図をプリントアウトしてくるのを忘れていた。「うーん、たしか、何とか川っていう交差点を曲がるねんな、うーん、あ、そうや加茂川や!」(いしかわ)「加茂川って京都やん!そんなあるわけない」(Dr.ASH)という会話をした途端、「あー今の交差点加茂川や!」(ガル師匠)ということで、例によって迷うブラバ。(編註:ちなみに京都のは鴨川。)
そんなこんなでどうにか到着して、早速リハ。ほとんどの曲をさらう。「このぐらいゆったりと音だしできるといいよね。いつもバタバタしたライブばかりだからさ」(ガル師匠)。音もしっかりしてて非常に気持ちいい環境。素晴らしい。例によって大満足な3人。あげく控え室では美味しいコーヒーとサンドイッチが用意され、まるでVIP待遇。「こんな経験ないよ。こっちが申し訳ないと思っちゃうくらいだ」(Dr.ASH)。本番まで約1時間ほどあったので、いしかわとDr.ASHはその部屋にあった将棋を始める。勝負は大混戦。「20年ぶりなんだよね。しかも勝ったことない」(いしかわ)取った取られたのスピード感溢れる勝負を繰り広げる2人。いよいよ勝負も大詰めのとき「そろそろお願いしまーす」の声が。勝負は1stステージ後に持ち越された。
さて、将棋のレポートはさておき、本番である。まずはおもむろにいしかわのイントロでスタートする「the day afternoon」。続いて名曲「ぐうたら」へ続く。オーディエンスはいつものブラバのライブよりも若干年齢層が高く、しっとりした雰囲気で目をつぶり、身体を横に揺らしている。さらに、日本人の日本人による日本人のための歌モンドセレクション金賞を受賞した「台風」へ。お正月は過ぎたものの、「正月は帰ろうかな」の言葉に涙するオーディエンス。続けて「冬のぼくたちは」へ。出し惜しむことなく名曲を畳み掛けていくブラバ。「今回の作戦はこうだ。まず1stステージは、手探り状態のお客さんが多いだろうから、できるだけ人気のある曲を続ける。で、ある程度温まったところで、まったりした曲を畳み掛ける。これで決まりだ」(いしかわ)(編註:何が決まるかは(謎))。ここで少しMCが入る。今回は酒を一滴も飲まずに参戦しているブラバだが、なんとメンバー全員が誰も飲んでいないのはバンド始まって以来初めてのことである。「やればできる子だからね」(ガル師匠)。次は「good night」へ。今回はちょっとアレンジを変え、前半が弾き語りになっており、また違った魅力を放っている。続けて「季節がわり」のイントロが始まる。王道の流れだ。いつもよりも丁寧に織り上げていくように音を出す3人。そして、1部最後はお馴染み「日焼け跡」に続く。メンバー紹介も非常にオトナな雰囲気。エンディングを迎え、拍手の渦に包まれて控え室へ戻る。
急いで控え室へ戻ったのには訳がある。将棋の続きだ。「勝負は勝つか負けるかのどちらか。引き分けなんてのはナンセンスだ」(Dr.ASH)。勝負は終盤、一見優勢に見えたいしかわの隙をついてDr.ASHが急所に王手。「いやー、おれ、一生で3回くらいしか勝ったことないんだよ。こんなに嬉しいことはないよ。気分よく次のステージにいけるね。おれ、メンタル戦士だから」(Dr.ASH)。「いやー、やられたよ。後一歩だったのになあ」(いしかわ)。
そんなドラマが繰り広げられた後に、いよいよ怒濤の2ndステージへ。おもむろに始まったのは「心の声」。サトラレというTVドラマに触発されて作られたこの曲も、ドラムレスでまた違った雰囲気になっている。「このあたりの曲って、デモを作らずにスタジオでみんなでアレンジしたんだ。だからちょっと不安だったんだけど、全然問題なかったね」(いしかわ)。続いて「届かない手紙」「サブリナ」。会場はじっと耳を傾ける。目をつぶり、ひとつひとつの音をすべて受け止めようとするおばあちゃん、ソファにもたれてすっかりと夢の中のおじさん。ひとりひとりが思い思いにブラバワールドを満喫している。続けて「とぼけた顔」へ。ガル師匠のハモリが切なく響く。さらにしっとりと始まったのは「夕暮れ」。ブラバの持つしっとりした曲はすべてこのステージで演奏されていると言っても過言ではない。ここでMCでCDの宣伝を少々。伊良湖一番もソウデスカも好評である。いよいよ終盤、将棋で言えば詰みへ向かうにあたって、「too late,tonight」を選曲したブラバ。いわば王手飛車取りといったところか。ガル師匠のアツいギターソロも健在。最後は「情熱」。会場の割れんばかりの手拍子が3人を支える。「忘れちゃいけないのは、てっちゃんの音もしっかり僕らの心の中でなってたってことだ」(Dr.ASH)。一丸となって詰みを迎えた。と思いきや、会場はまだまだブラバを離さない。アンコールの雨あられ。「あれは本当に困ったね。まったく曲を用意していなかったんだよ」(いしかわ)。悩みに悩んだ末(編註:その時間約2分)、「カバーでもいいですか?」と一言の後始めたのは「涙そうそう」。「リハでも一回もやったことないし、本当にあれ、ぶっつけ本番だったんだよね。参ったけど、まあ、今日のお客さんの顔を見てたら、あの選曲になるのは自然だよね」(ガル師匠)。会場の温かい拍手はいつまでも続いていた。
セットリスト -1st satage- the day afternoon ぐうたら 台風 冬のぼくたちは Good Night 季節がわり 日焼け跡 -2nd stage- 心の声 届かない手紙 サブリナ とぼけた顔 夕暮れ too late,tonight 情熱 -アンコール- 涙そうそう