泉の広おばCD発売記念ライブ


さてさて、思い出したように精力的な活動をするブラバであるが、この1月も2本めのライブである。まったく無計画にライブを引き受けるスタンスに世の中もやや呆れ顔であるが、そんなことはまったく気にしないブラバの面々である。今回は浜松を代表するオリジナルロックバンド「泉の広おば」の1stアルバム「DCF-1」の発売記念ライブに、前座としてお招きいただいたため、急遽出演となった。

このアルバム、実はOffice奇兵隊より発売されていることをご存じの方は多いであろう。われらがリーダーいしかわが録音>ミックス>マスタリングまでを一手に引き受け、途中機材トラブルに見舞われたり、ブラバのアルバム制作を後回しにしつつ(編注:おいおい)、完成させたこのアルバム、ブラバにとってはいわば「兄弟」のような存在である。「いやー、結構大変だったよ。ブラバだったらさ、もう最終形がある程度見えていて、かつ8トラック以内でやれるスカスカな音だからそんなに悩むこともないんだけど、1曲でだいたい16トラックくらいあるし、音もたくさんだったから、そのあたりのバランスとか、あと機材の制約とかと戦いながらの半年だったね。おかげでいろいろ知恵とかノウハウもついたから、これをまた活用できるといいんだけどね」(いしかわ)。この録音については、永井さんのページにある録音日記をご参照。

さて、今回はいつものブラバとちょっと違う。なんと、いしかわがアコギではなくエレキを弾くのだ。「どうなるか、と思ってね。もともと実験好きなんだよ、僕たち」(いしかわ)。「最初のリハでは燃えたよ。何しろ、すごいロックな音なんだもん。」(Dr.ASH)。「ブラバのリハで汗かいたの初めてだよ(笑)。最初はやっぱりちょっと違和感あったけど、だんだんいい感じになってきてね」(ガル師匠)。「エレキだとダイナミクスをつけるのが難しくなるんだよね。そのあたり、ライブでどうなるかっていうのがテーマだったよ」(てっちゃん)。なんて貪欲なブラバ。自分たちの音を追求していく過程で、さまざまな困難を乗り越えようとする姿勢は、今まであっただろうか!(編注:なんのことはない。泉にゲスト出演するいしかわが、泉でエレキを弾かなくてはならなくなり、ギター2本持っていくの面倒くさい、と言ったからこうなっただけ。とほほ。)

当日リハを終え、ポルカ入りしたメンバー。突き抜けるような晴天はブラバには珍しい??さっくりとリハを終え、いよいよ本番へ。ここでも、姉さん、事件です!!なんと、ブラバがお酒を飲んでいない!「この前の磐田で、自信がついたんだよ。やれば出来る子だからね」(ガル師匠)。「正直ね、飲みすぎなければ変わらないんだけど、声出すのが楽かなあって。それに、慣れないエレキでやるわけじゃない?その代わり、自分の実力を超えたマジックは起こりにくくなるんだけど。どっちを取るかだと思うよ。ほんとは、飲まなくてもそのマジックが起きるのが理想なんだけどね。なかなかねー。」(いしかわ)。というわけで、緊張の面持ち、、、、かと思いきや、ステージでもゆるゆるした雰囲気でスタート。おもむろにガル師匠いしかわが弾きはじめる。むむむ、この雰囲気は今までにない流れ。ドラムとベースが入ってきたところで、なんといしかわのギターでイントロが弾かれた「too late,tonight」がスタート。すっと歌とともに音を抑えるてっちゃん。「このダイナミクスが命だからね」(てっちゃん)。エンディングのソロはいしかわガル師匠と続く。より自由度を増した展開に、早くも会場はオーバーヒート寸前だ(編注:息切れ注意)。「どっちかというと、岡本ちゃんはJazzっぽくアプローチしてるけど、僕は元来ブルースギターだからね。そのあたりの対比もやってて面白いよね」(いしかわ)。さて、怒涛のソロ合戦が終わった後は静かに「心の声」が始まる。この曲では、Dr.ASHのベースソロが憎い。「ほとんどメロディをなぞるだけのシンプルな中に、いかに思いを込めていくか。これが実は一番難しいんだなあ、ってやっと気づいたんだよ」(Dr.ASH)。さらに続けて、余韻が残ったままで始まったのは「ドライブ」。疾走感溢れる中、ガル師匠のギターソロがこれまた憎い。いしかわのカッティングもいつもよりキレを増して、タイトな仕上がりだ。さらにさらに続けて(編注:何曲続けるねん!)、またもやしっとりと「Good Night」がスタート。今回は弾き語りで始まり、2番からバンドが入ってくる構成だ。「大人になって、街がかわって、それもいいよ。それでいいよ。だって、愛がわかって、人がわかって、それでいいよ。いつのまにか遠回りしてたね。」天才青野りえの歌詞がオーディエンスの心を掴んで放さない。「最初、この歌詞が届いたときに、自分の曲が自分の曲でないような雰囲気に感じたんだよ。なかなかそういう感覚にはなれないんだけどさ、少なくとも、この曲に関しては、青野の歌詞が普遍性を与えてくれたんだよね。"親の子離れ"がなかなかできない気持ちがちょっとわかったかな。やっぱり外で揉まれないとね」(いしかわ)(編注:このコメント、わけわからん。)。ここで、今日最初のMC。泉の広おばのCDを嬉しそうに宣伝するいしかわ。その後おもむろに始まったのは「冬のぼくたちは」。いしかわのアコースティックでない音が逆に新鮮に響く。うっすらとコーラスをかけた柔らかい音色が会場を包み込む。「雰囲気が変わるもんだよね。って当然か。楽器が違うんだもんね」(いしかわ)。続けてミス台風コンテストのテーマソングにもなった(編注:大嘘)「台風」。「もうさ、間違いないよね」(はまざき)(編注:だから、メンバーじゃないって)。今年の正月も実家に帰らなかったいしかわは、何を思って歌ったのだろうか。ここで一息MC。次のライブの紹介。CDの宣伝を少々。もうすぐ完売の「ソウデスカ」も多くの人に愛聴されており、嬉しい限りであろう。さて、ここからは怒涛の3曲。まずは「there is nothing but here is something」。今までに聴いたこともないようなロック魂溢れるサウンドに会場は熱く燃え上がる。この曲ではいしかわがソロを弾き倒す。「いやー、気持ちよかったよー。こんなにソロを弾くのも久しぶりだったしね。COFの時はあんまり歪ませたりすることもなかったし、ロックなアプローチをすることも少ないから、気持ちよかった」(いしかわ)。続いてメドレーとして定番となった「太陽と悪魔の日焼け跡」。「ちょっと速く出すぎたかなって思ったけど、それがかえって疾走感あってよかったよね」(てっちゃん)。ソロコーナーでは、まずはいつもソロを弾かないいしかわから。途中一瞬だけジョンスコを思わせるアウトフレーズを見せたところで会場は大爆笑。続いてガル師匠。オクターブ奏法で盛り上げたのちにやはり一瞬アウトして大爆笑。「ブラバだと、アウトするだけで笑いがとれるんだよね。どうか、と思うよ(笑)。でも、ある意味美味しい?」(ガル師匠)。「うーん、やっぱりあれだ、もっとアウトをがんがんしてほしかったなあ」(あおやま)(編注:お奉行にはかないません)。オーディエンスの期待を一身に受け、次への期待を残しつつ、お次はDr.ASHのソロが炸裂!!!!途中やり直しを余儀なくされたがそんなことは関係ない。びしびしとチョッパーを繰り出してオーディエンスを煽る。最後はてっちゃんのソロで最高潮に。そして最後は畳み掛けるように「情熱」へ。いつもよりキレのあるタイトなサウンドでぐいぐいと進んでいく。これぞ、アコースティックR&Bという自ら掲げたジャンルを打ち破ったニュー・ブラバと言っても過言ではない。「ザ・ブラックバスというよりは、ブラック・ザ・バスだね(笑)。もっとロックやろうよぉー。」(Dr.ASH)。「またやってみたいよね。音の幅も広がるし。でもその分ダイナミクスにより繊細にならなきゃいけないけど」(ガル師匠)。みな、それぞれに何かを掴んだライブであった。


セットリスト
too late,tonight
心の声
ドライブ
Good Night
冬のぼくたちは
台風
there is nothing,but here is something
太陽と悪魔の日焼け跡
情熱


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