c/w LOS BONBON


「ニポンノミナサン、コニニチワ。ワタシガ、マレーシアカラキマシタDr.ASHデース。ドウゾゴヒイキニ。」

そう、我らがベーシストDr.ASHの来日公演である。本国マレーシアでも、怒涛のライブを敢行(編注:観光ともいう)した彼の溢れんばかりのパワーが、今回も大いにみなぎるライブとなることが開演前から期待されていた。そして、期待通りの雨。さすがスコールで信号機を壊す男。現代の雷神である。

そんな冗談を飛ばしつつブラバメンバーが向かったのは練習スタジオ。そう、当日のリハーサルを行うためである。「やっぱりある程度あっためておくと、本番もいい感じなんでね」(いしかわ)。前回のライブで得た「いい感じ」を探りつつ掴みつつ曲順どおり進める。「例えばお酒を飲まずにやるとかさ、直前のリハもそうなんだけど、結局ゲン担ぎな部分あるんだよね。結構オカルト信じる方なんで。今に、ライブの日は朝からこうして、こうして、っていうようにパターン決めちゃうかもしれないし(笑)」(いしかわ)。「ニホンノタベモノオイシイデース。」(Dr.ASH)。

一同儀式を終え(編注:セットリストを1回通しただけ)、愛すべきマクドナルドをしばいた後、満を持してポルカ入り。今回の対バンは、リングアナウンサーなどで有名なマルチタレント高乃希里ちゃんをボーカルに擁したLOS BONBON。バンドの中心は、ブラバとのコラボレーションで浜松では多くのファンを持つ「theつじどー」の主要メンバー、ベースのラリー小野田氏、キーボードのあきづきかおる氏、ドラムのオマーくんである。ギターのジュンヤくんはなんと19歳!!わお、びっくり。年齢を忘れさせる渋い演奏で、バンドに華を添える。ちなみに、ラリー小野田氏に至っては、浜松在住のミュージシャンよりもポルカ出演回数が多いという恐ろしい生活を続けている。そんなLOS BONBONに対して、ブラバがどう戦うか!(編注:戦いなのか?)

さて、いよいよ本番である。今回は同じ日に別の場所でStory/K-Proがライブをやっているという大変不利な状況ながら、何とかお客さんが集まる。「いやー、どうなるかと思ったんだけど、何とかなったね。しかも今回は新規の方が多かったのもよかった」(ガル師匠)「こうやって少しずつでもいいから、新しい人たちに聴いてもらえるだけで幸せだよ。お客さんの人数が多けりゃいいってもんじゃないからね。まあ、贅沢な話だけどさ」(いしかわ)「ニポンノヒト、ミンナアルクノハヤイデース」(Dr.ASH)。

1曲めは、「心の声」でしっとりとスタート。「バラード系の曲で始めるのは燃えるんだよね、内面的に」(てっちゃん)。途中Dr.ASHのベースソロが切ない。「ニポンノココロ、ダイジデース。ギリ、ニンジョー、ソシテ、オダギリジョー」(Dr.ASH)。続いて「情熱」へ。「日ごろは最後の曲でやることが多いけど、こうやって2曲めに持ってくるっていうのも新鮮だよね」(いしかわ)。疾走感溢れる演奏に、オーディエンスも一気にヒートアップ。しかも、今日はガル師匠のコーラスもしっかりと入って、さらに音も厚くなる。さらに畳み掛けるように続けて「ぐうたら」へ。この曲が大好きなLOS BONBONのメンバーも大喜びである。「昔からそうなんだよ。どちらかというと、音楽やってる人とか、業界の人、PAさんとかにね、評判いいんだよね、この曲」(いしかわ)。「ブシノナサケ、クワネドタカヨージ」(Dr.ASH)。軽いMCのあと、「冬のぼくたちは」へ。心持ち遠くを見ながら歌ういしかわてっちゃんのアツいビートが心に刻む。続けて「ビバ九州!サウンドコンテスト2003」で見事優秀賞に輝いた(編注:あいかわらずの大嘘)「台風」へ。一気に季節が逆戻りしていることはさておき、会場はしっとりとした、そして、心の片隅がほんのりあったかい気持ちに包まれている。ここでMC。Dr.ASHから一言。「ワタシノシャベリハカタコトデース。」に会場は笑いの渦に包まれる。「いやー、おかしくって、その後まともに話せなかったよ。歌えないんじゃないかと思って」(いしかわ)。和気藹々とした雰囲気で、「Good Night」が始まる前半はギターのみで坦々と、そして後半はバンドでぐぐっと盛り上げる流れになって、さらに青野りえの歌詞がよりストレートに伝わる。続けて「季節がわり」へ。切ない曲が続いていく。「これから、後どれくらい忘れていくのかな?不器用な指先は、いつも欲しがってる」という歌詞に込められた想いが、会場を包み込んでいる。さらに続けて、いしかわガル師匠がギターの掛け合いを始める。これは、もしや、、、、そう、「Too late Tonight」だ!イントロからすでにヤバい状態まで盛り上がるオーディエンス。もちろん、しっとりとした、でも心の中でアツい盛り上がりである。これぞブラバサウンド。「この曲も、やっぱり毎回やっちゃうんだけど、何だろう、自分たちが盛り上がるっていう感じなんだよね。決して激しくもないし、坦々としたシンプルなコード進行なんだけど、何かアツいっていうね。何だろうね」(いしかわ)「デカケルトキハワスレズニー」(Dr.ASH)。ガル師匠のブルージーなギターソロを堪能した後は、最後のMC。「次のライブでは加藤姉妹も出ます!」とOffice奇兵隊仲間を宣伝。諸連絡を終え、いよいよクライマックスへ突入。まずは「夕ぐれ」。「この曲も何気にさ、僕ら自身が好きな曲なんだよね。やってて盛り上がるというか」(ガル師匠)。「ニポンノワカモノハ、ナンデミンナキンパツデースカ?」(Dr.ASH)。続けて最後の曲、「ドライブ」へ。イントロでメンバー紹介。新しいカタチだ。「何かね、メンバー紹介な曲ってあるでしょ?そういう雰囲気にイントロだけしようと思ってね。メンバー紹介してカッティング入って、っていうのを繰り返してだんだん曲に入っていくっていう。まあ、ありがちだけど大事っていうね」(いしかわ)「様式美だよね(笑)」(ガル師匠)「ニポンデハ、イヌガフクヲキテマース。ワォ、ビックリデース」(Dr.ASH)。駆け抜けるようなグルーブで引っ張っていくてっちゃんのドラムにDr.ASHのうねるベースラインが絡む。最後の力を振り絞って歌ういしかわ。荒々しい勢いの中にジャジーで知的なエッセンスを盛り込むギターソロを弾くガル師匠。バンドのみならず会場全体が一体になった瞬間だ。鳴り止まぬ拍手。いつまでも醒めやらぬ雰囲気のまま、全10曲、小一時間のステージは幕を閉じた。

さて、通常ならここで終わるところだが、忘れてはいけない、LOS BONBONのステージで嬉しいハプニングが。ボーカルの希里ちゃんが「それではメンバー紹介でーす」といいつつ始めた曲に、その秘密が隠されていた。「いやー、最初さ、何かかっこいい曲だなあって思ってたんだよ」(いしかわ)。各メンバーのソロが入り、コードの雰囲気が変わった瞬間、聞こえてきた歌詞は「ソウデスカーーーー」。これには会場中が大合唱の嵐。「全然判んなかったよ」(ガル師匠)「イーガコーテーソウリャンハン」(Dr.ASH)。ブラバサウンドがじわじわと全国に浸透している姿を垣間見ることが出来た瞬間であった。


セットリスト
心の声
情熱
ぐうたら
冬のぼくたちは
台風
Good Night
季節がわり
too late,tonight
夕ぐれ
ドライブ


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