7周年記念ライブ
2006年12月17日(日) 浜松 メリーユー
東京ライブを終え、メンバーには日常が訪れていた。しかし、いつもの年末ではない。Dr.ASHの引退発表から、ブラバ周辺は慌ただしくなっていた。ガル師匠はモデル立ち上げに追われ、Dr.ASHは気が気で無い日々を送り、いしかわは直前にアメリカへ。(編註:ブラバとまったく関係なく、仕事が忙しいだけです。)特にいしかわのアメリカ行きは突然だったため、日程調整に苦慮。「いやー、これが限界だったんだよね。実はこれでもライブを何本か飛ばしちゃったんだ。申し訳なかったなあ。でも、何とかなってよかったよ」(いしかわ)(編註:8日の夜には、エスケリータ68で中野督夫さん、二村敦志くんとの競演が予定されていた)。いしかわの旅程は8日出発〜16日着のまさに綱渡り。「普通ならこの期間でリハやってるんだけどね」(ガル師匠)「だからむしろ集中できた、っていうのはあるかも知れんけど」(Dr.ASH)。
そんな危機的状況を支えたのは、スーパー
天然ドラマーゆきちゃんであった。昨年夏からブラバサウンドを支え、今ではブラバサウンドになくてはならない存在となっている。その安定感によって普通ならすっかり忘れてしまう雰囲気を、すぐに取り戻していた。主役のDr.ASHもこう語る。「もともとやっぱりドラムとのコンビで活きるベースだと自分では思うし、もちろん3人でやるのも好きなんだけど、ドラムがいるのとそうでないのとは、気持ちの自由度が違うねん。だから、今回はそのあたりがすごく軸にあったよね」(Dr.ASH)「早く飲みたいねー」(ゆき)。しかしその綱渡りは前日まで続く。いしかわの飛行機が順調に遅れて、浜松に21:30に到着。22:00からリハーサルに何とか滑り込む。「いやー、さすがにここまで遅れるとは思わなかったけど、ほんとぎりぎりだったよね。でもね、何とかなる確信があったんだ。根拠はないけど(笑)」(いしかわ)。その後現地に仕込みへ行き、結局音だしまで完了してしまう。「ここまで作るつもりはなかったけど、せっかくだし、ってことで、メリーユーのたくちゃんが気を利かせてくれたんだ。でも、これに救われたんだよね」(ガル師匠)「英司さん(浜松を代表するスーパードラマー)が、ドラムセットも組んでくれてたし、それも本当に助かったよ」(Dr.ASH)。
一夜明け、当日。前日仕込みのお陰で集合時間は11時に。「これは助かったよね。ゆっくり寝させてもらいました」(いしかわ)。しかし、ここで姉さん事件です!ガル師匠が来ない。「いやー、やっちゃったね」(ガル師匠)。しかし、それに焦ることなく、笑顔でリハを進めるメンバー。「それもブラバだからねー」(Dr.ASH)「プレミアムモルツ、美味いよね」(いしかわ)「あー、もう飲んでるー、ずるい」(ゆき)。
さていよいよ本番。すっかり打ち上げモードに入りそうなメンバー。だが、ここからが怒濤の22曲。「多いちゅうねん(笑)」(ガル師匠)「吐きそうやね(笑)」(Dr.ASH)「なんでこうなるかなあ。しんどいわ(笑)」(いしかわ)(編註:自分たちで決めたんじゃないの?)1曲めはいつものように「Too Late, Tonight」からスタート。「お約束だからね」(いしかわ)。続いてライブでは初めての「ギャルとおれら」。「歌詞もつけたんだよ」(いしかわ)。ゆきちゃんとDr.ASHの繰り出す8ビートが気持ちよい。続いて「季節がわり」へ。これもアレンジは8ビートに。「ちょっと青春っぽいというか、80年代、というか」(ガル師匠)。ドライブ感溢れるリズムを繰り出すDr.ASH。さらに畳み掛けて新曲「ボクの扉」。ここではゆきちゃんのパーディ・シャッフルが楽曲を粋に彩る。「こんな変な曲をやるバンドないから、なかなか聴けないでしょ?僕らが楽しみだったよ(笑)。マニアックな楽しみだよね」(いしかわ)。お次は冬といえばこの曲、「冬のぼくたちは」。「ふたり」「台風」と続く。久しぶりの「人魚姫」は2002年11月のポルカ以来。「しかもさ、この曲って書いたのがもう13年前なんだよね。長くやると、少しずつ変わってきて、それも楽しみではあるね」(いしかわ)。そして、1部の最後は「ドライブ」で。いつものライブならこれで終わり!なのだが、ここで休憩して2部へ。
2部はアコースティックセットで、まずはガル師匠といしかわの「元祖ブラックバス」(編註:略して元ブラ)で登場。おもむろにスタートしたのは「雲がくれ」。ゆるーい雰囲気が会場を包んでいく。脱力した歌詞と大きい流れのメロディが、肩の力を抜かせていく(編註:イメージ)。「今年は元ブラも何度かやって、原点を感じたとこもあるんだよね。これがあってバンドがあるんだなっていうのを再認識したよ」(いしかわ)。続いて「とぼけた顔」。ここで大きな事件が起きる!いしかわが突然演奏を止めてしまった。「何が起きたか判んなかったよ」(ガル師匠)「いやさ、歌詞が完全に飛んで行ったの。子供が泣いてたのが気になって、ってそのときは都合よく言ってたけど、多分泣いてなくても飛んでたよ(笑)」(いしかわ)。ここでいしかわが選んだ解決策は、「1番の歌詞で2番の最初からやります」。(編註:ゆるいにもほどが有る)。ところがこれだけではとどまらなかった。サビの歌詞までもその場の雰囲気で歌ってしまういしかわ。「コーラスやってるのにー!」(ガル師匠)「いやー、歌詞は生き物ですな(笑)」(いしかわ)。いいのか悪いのか判らない状況で、おもむろにリズム隊を呼び込む。Dr.ASHが引退についてを語る。(編註:詳しくはこちらをチェック)人生、長い中でいろんな節目があるが、Dr.ASHにとってはこの日がまさにそうなのかもしれない。ここでブラバが選んだ曲は「サヨナラColor」。まさにDr.ASHのこれからを想う曲である。「いい曲だよね、ホントに」(いしかわ)「みんながカバーしたり、映画にしたりする気持ちがよく判るよ」(ガル師匠)。そのまま、これも定番となった「家族の風景」へ続く。「この曲を書いた永積くんは僕らと同じ年なんだよね。だから余計に親近感もあるし」(いしかわ)。これで2部は終了。ほっこりと温かい気持ちになったところで3部へ。
さて、いよいよ3部のスタート。「ぐうたら」「夕暮れ」「至上の愛」と続く。Dr.ASHのために書いた「あじさい」は、バンドアレンジでさらにダイナミクスを増している。次にブラバが選んだ曲は「ソウデスカ」。これも本舗初公開。「実は昔あきづきさんのバンド(編註:LOS BONBON/2004年2月に競演)がやってくれたことがあるんだよね(笑)」(Dr.ASH)「おれら途中まで気がつかんかったよなあ」(いしかわ)。ここでは多くのキッズたちが大喜び。(編註:この日は禁煙席/キッズコーナーを設置していた)。珍しいいしかわのギターソロを挟みつつ、怒濤の勢いでドライブしていく。Dr.ASHのスペーシーなサウンドも多くのオーディエンス(編註:ほとんどがキッズ)のファンク魂を揺さぶっている。「いよいよ最後です。じゃあ、3曲続けて」のMCに大笑いするオーディエンス(編註:まだやるのか?と思ったに違いない)。「日焼け跡」では極上のセカンドラインを畳み掛けていく。アウトフレーバー溢れる、とんちの効いたガル師匠のソロが印象的。さらには「情熱」。ジャジーで粋なガル師匠のソロが彩る。最後は「ないものねだり」。とどまるところを知らない勢いに、オーディエンスは熱狂!(編註:想像比)。ぐいぐいと引っ張っていくDr.ASHとゆきちゃんのリズムに、いしかわとガル師匠が乗っていく。これぞブラバサウンドの完成形と言っても過言でないほどのテンション。拍手をやめないオーディエンスに応え、アンコールは「心の声」「どうよ?」を。「この2曲はセットだからね(笑)」(Dr.ASH)。声を枯らして最後まで歌いきるいしかわ(編註:飲み過ぎなだけな気がします)。こうして怒濤の7周年は幕を閉じた。
---セットリスト---
Too late, tonight
ギャルとおれら
季節がわり
ボクの扉
冬のぼくたちは
ふたり
台風
人魚姫
ドライブ
雲がくれ
とぼけた顔
サヨナラColor
家族の風景
ぐうたら
夕暮れ
至上の愛
あじさい
ソウデスカ
日焼け跡
情熱
ないものねだり
心の声
どうよ?