SHIBUYAゆるゆるNIGHT
c/w theつじどー/Transparency/Poodoll Goodoll/JUNCA


 遂にこの時が来た。ザ・ブラックバスがスタートして3年8ヶ月。スタート時点で、一体誰が想像しただろうか。おそらく誰もこんなことになるとは思ってもみなかったはずである。そう、東京進出である。いつの間に真面目な(当社比)バンドのようになったのかは定かではないが、彼らにとってひとつの節目を迎えようとしていることは間違いない。

 リーダーいしかわは朝6時半に起きていた。遠足の日、眠れなかったことを思い出しているのだろうか。よほど興奮しているのだろう、パジャマのままスタジオ奇兵隊にたてこもる。ガチャン、ウィーン、ガチャン、ウィーン。。。何の音だろうと思いきや、CDを作っている。「全然足りないのに、キャンプ行っちゃったんだよね(笑)」・・・やはりいつもの調子であった。

 そんなリーダーいしかわの元へ、Dr.ASHが訪れる。まだまだCDを作り続けるいしかわ。なんとか16枚出来上がったところでタイムリミット。時間は万人に平等に過ぎて行く。車に機材を乗せて、集合場所であるてっちゃん宅へ。今日はてっちゃんブギカメ号が大活躍。遠征の強い味方だ。11時過ぎに無事浜松を出発。遠州豊田SAにて食事。ここで、別行動の岡本ガル師匠から電話。「今どこー?」「今ね、遠州豊田」「おー、そうか」っていうか、まだ浜松じゃーん。といいつつ、焼肉定食(という名の豚しょうが焼き定食)をのんびり食べるメンバー。のんびりと出発。車中では前のライブを聴きながら自画自賛を繰り返す。しかし、運転の交代をするときに大問題ぼっ発!いしかわが眼鏡を忘れて来た様子。眼鏡なしでは、彼の運転免許証は紙切れ同然。意味ないじゃーん。「やっぱりグルーブって深いよね」と意味不明な言動を繰り返してごまかそうとするいしかわを「はいはい、」と一喝する日記職人Dr.ASH。この時、密かに「おいしいネタができた」とにやけていたことは誰も知らない。

 渋滞もなく順調に流れてきたが、ここでもうひとつ問題が!!渋谷を降りてからの道を誰も知らないことが判明。元東京在住のいしかわは「免許取ったの浜松来てからだし、渋谷駅からの道しか確認してなかった(笑)」と苦笑い。急いで今回の主催者であるtheつじどーあきづきさんに電話を入れる。そうしているうちに首都高から渋谷駅の姿が!これでばっちりだ(笑)。位置関係をしっかりと把握したブギカメ号は、迷うことなくライブハウス前に横付け。109-2の駐車場の手前に車を置き、荷物を下ろそうとしたところで、「がしゃーん」と荷物が落ちる。あわわわと拾っていると、駐車場係のおじさんがつかつかつか、と寄ってくる。あー、注意されるのか、と思い「あのー、荷物を下ろすだけなんで、すいません。。」と先に切り出すいしかわ。そしたら、そのおじさん、おもむろに紙袋を差し出し、「さっき、袋がやぶけたんでしょ?これ使いな」と渡して戻って行った。メンバー一同は顔を見合わせてしばし無言の後「・・・東京の人やさしいじゃーん!」と今まで持っていた東京人に対するイメージを払拭。ほんわかと温かい心持ちでライブハウス入りをする。

 ホテルへのチェックインを終え、ライブハウスに戻ると、すでにサウンドチェックが始まっている。メンバーはみな緊張の面持ち。無理もない。浜松のときはほとんどがバンド2つで知り合いばかり。今回はtheつじどーのメンバー以外は知らない方ばかりなのである。そこでいしかわが一言、「ビール飲みたいねえ」そんな中、theつじどーの後、いよいよブラバはリハーサルを迎える。大掛かりなPAでのライブは、ブラバとしてはある意味初めてでもあり、いささかいつもとの違いに戸惑いながらも、やはりだらだらゆるゆると進めてゆく。「あのー、モニターが大きいので下げてもらっていいですか?」という普通のバンドではありえない注文をしつつも無事終了。本番を待つばかりである。岡本Dr.ASHは、親父狩りに怯えながら渋谷の街を豪遊。いしかわはリハを見ながらビールを飲むタイミングを図り、てっちゃんtheつじどーのプリティパーカッションしずかさんとマニアックな打楽器話に華を咲かせる。なーんだ、いつもと変わらないじゃーん(笑)。

 さて、今回は5バンド中最後ということで大トリを努めるわけであるが、21時出演予定が他のバンドの熱演でガンガンと時間が下がっていく。素晴らしいバンドの演奏に酔いしれ、燃え上がる観客席。この興奮がこのまま続いて行くとなると、これはすごいことになるのではないか?しかし、そんなこととは関係なく、ラッキーと言わんばかりにセットリストから1曲削るいしかわ(笑)。結局22時頃演奏スタート。簡単な挨拶の後、いしかわがおもむろに始めたのは「心の声」。まるでテレビドラマの主題歌のようなこの曲で、会場が一気にブラバ色に染まる。続けて「どうよ?」へ。うーん、バンドサウンド!ちょっとシニカルな歌詞を軽快に歌ういしかわをはじめ、メンバーみな笑顔である。「今回は何より楽しくやれればいいよね。で、それが皆に伝われば最高だよね」(岡本談)との言葉どおり、今この瞬間を会場と一致団結して楽しんでいるブラバ。ちょっとしたMCの後、最近のブラバ内面燃え曲の代表「there is nothing, but here is something」がスタート。MCの軽さと楽曲の重さ(ゆるさ?)のギャップが、多くのファンを魅了してやまない。これも計算か?(編註:そんなわけない)いつもよりも心持ちゆっくりなテンポで、岡本のアツいギタ−ソロを、後ろからガンガンと煽るてっちゃんのドラム。一気にヒートアップしたところで続けて「台風」へ。「2003年日本が生んだ名曲100選」にノミネートされて(編註:うそ)、多くのファンの心に「ふるさと」を思い起こさせるこの曲では、多くのファンが大合唱(編註:イメージ)。さらに、坦々としたギターのカッティングが会場に飛んでいく。「気まぐれ」だ。なんと、なんと、レゲエにアレンジされているではないか!!!ボブ・マーレィが降りて来たかのような雰囲気で、会場が一気にジャマイカ色へ。いしかわの喋りも気持ちジャマイカ訛りになっている(笑)。今までにないアプローチに会場は大喜び(編註:theつじどーのメンバー以外はほぼ初めてなので関係ないじゃん(笑))。その後、MCで3rdアルバム「ソウデスカ」の宣伝をした後に、これもメンバーが燃える曲「too late, tonight」へ。都会の夜にぴったりなこの曲は、花の都大東京で演奏されることでさらに輝きを増し、男と女の積極的な夜に彩りを加える(謎)。アツくアツくヒートアップした会場に、さらに畳み掛けたのは「日焼け跡」ガンガンと突っ込んで行くブラバと、それに負けじとついていくオーディエンスが一体となって走り抜けていく。サビの大合唱が会場中を包み込む(編註:今回は本当に(笑)だって、theつじどーの人たち、皆歌えるんだもん。ありえない!)。メンバー紹介では、モニターに足をかけてぐらぐらとしてしまったDr.ASHのソロにラリー小野田氏がヘッドバンキングで応える瞬間も。怒濤のソロタイムを終え、さらに怒濤のサビに続けて最後の曲「情熱」へ。いつもよりもさらにキレを増して駆け抜けてゆく。岡本のジャジーなソロがたまらない。最後は恒例のWhat's goin' on〜でお別れだ。ところが、会場はアンコールの雨あられ!!「ありがとうございます!!」と興奮気味に応えるいしかわ。アンコールには、多くのミュージシャンが大好きなこの曲「ぐうたら」をセレクト。ゆるーいなー。こうして、ブラバは無事東京進出を果たしたのである。渋谷にもまた、ゆるーい歴史が刻まれた。こうやって全国に少しずつゆるーいサウンドが波及していくことだろう。(編註:いつになることやら。。。)


セットリスト

心の声
どうよ?
there is nothing, but here is something
台風
気まぐれ
too late, tonight
日焼け跡
情熱
-アンコール-
ぐうたら



戻る